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散歩です。


by rhythmofmountain

Aso Round Trail vol.5

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【AS6清水峠84.8k〜AS7地蔵峠97.7k】
最後のASまでの12.9kが今の自分には途方もなく遠いものに感じる。けど、進めばいずれ着くだろうと脚を動かす。
前セクションでの10分仮眠の効能も徐々に薄れてきてて再びグロッキー状態になってまた寒くなってきてまた全部着込んで幻覚見ながら脚を動かす。
今回新しかったのは、落ちがちになる視線が捉える足元の石、これがやっぱり人の顔に見える。皆一様になんか用?みたいな顔したオジサンだった(笑)
差し当たって用事は無いんだよ、と呟いてみるけどオジサン達はやはり一様にあっそうみたいな顔をしている。

ふらふら進んでいると九州のお友達、マキシマさん軍団が抜いて行く。ふらふら進んでいると休憩しているマキシマさん軍団を抜く。この繰り返し。
その度にグロッキーで愛想もへったくれも無い僕に笑顔で接してくれたマキシマさん軍団、ホントありがとう!とても救われた。何回も、地蔵峠まだっすか、って聞いてスンマセンでした(笑)

南外輪山に入ってすぐのトレイルと比べればアップダウンも幾分かマシ(だったはず)のこのセクションを進む間に気がつけば空がだんだん明るくなっていた。

人の声が聞こえてくる。脚が痛い。眠たい。エイドはこの下ですと言われるがままにけっこうな傾斜を下ると下にエイドが見える。
7:34、AS7地蔵峠97.7k。想定タイムにマイナス1時間34分。前のエイドから5時間2分が経過していた。朝日はいつの間にか完全に昇っていた。

【AS7地蔵峠97.7k〜FINISH俵山交流館 萌の里108.7k】
AS7で再び仮眠を取る。ラストのセクションも11kあるのでワンクッション脳みそを一度スイッチオフしなければとエイドで借りた毛布とあるもの全部着込んで10分目覚ましかけておやすみなさい。

目覚ましが鳴る少し前に目覚めた。周りにはそこそこ人がいる。毛布が足りなくて待ってるんだって。皆がんばってんな。となりにちょこんと座ってた人に毛布を渡して立ち上がる。

さあ、ラスト11kだ。このエイドまで下った分、登り返してスタート。さっき下ったんだから登るとキッツイのは登る前からよくわかっている。
一歩一歩確実に登りながらポッケのiPod shuffleからイヤホンを耳に入れる。今回のレースでも舗装路行くときなんかに助けてくれた相棒。

音楽が聞こえる。何だか目が冴えてくる。顔を上げる。太陽が昇っている。光が目に入る。登り返しが終わる。ボリュームを上げる。ザワザワする。太陽に向かってひと吠えする。頭の中で何かが弾ける。ボリュームを目一杯上げる。頭の中で何かのスイッチが完全に入る。走り出す。眠くない。走り続ける。脚の痛みが遠くなる。後ろに後ろに置いていく。脚を動かす度に眠気や痛みを後ろに後ろに置いていく。

ここだ!と確信を得て一気にスピードを上げた。久しぶりに来たもうなんだかよくわかんないけど眠くも痛くもなんともないモード。
いつまで続くかもわかんないから今のうちに突っ込む。息が上がるけど動ける。

進んで進んでケイちゃんたちを見つける。少しの間一緒に進んでいる間にラストの俵山に差し掛かる。
ラストの俵山、こんなにデカイの聞いてないしって思いながらもまだ脚の痛みは戻ってこない。
なんとか俵山を登ったら最後の下り。

テンションは張ったまんまだ。ここでケイちゃん達と別れて再びひとりに。最後の下りを突っ込む。なかなかの傾斜にマディなサーフェイスだけど突っ込む。テンションが落ち着きそうになれば吠える。下りを落ちて行く。

視界が開けた。正真正銘最後の下り。下の方にゴールらしきものが見える。このままラストまで行きたい。このテンションのままゴールまで行きたい。下って下って下りきってゴールはもうすぐそこ。ダッシュだ。AsoRoundTrailが終わる。嬉しい?淋しい?よくわかんないけどゴールが見えた。またひとりかわす。後ろで大きな声が聞こえた。振り返る。motoくんがいる。えーっ!ってなりながらももう脚は止まらない。そのまんまのスピードでFINISH!
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27時間55分02秒。
長い長い散歩が終わった。嬉しくて泣いたりすんのかなって思ってたけど笑ってた。楽しかったんだろうな。ホントに。

すぐあとにゴールしたmotoくんを迎えてnobuさんに写真を撮ってもらった。先にゴールしてたコージくんやリョージさんとも合流してあーだこーだ話す話す。会いたかったんだよな、皆んなに。だから多分幻覚は人の顔をしていたんだろうな。

素晴らしいレースだった。
前半の雄大で美しい山の景色、後半の険しくて厳しい山のど真ん中。どこにいても心に響いた音が鳴り止まなかった。道中やエイドでの人の温かさも忘れがたく、エイドの食べ物もとても美味しかった。

その地に少しいるだけでもまだ震災の爪痕をそこかしこに感じた。人々は総じて元気そうに見えるけれど、その地に住んでみないとわからないことがほとんどだと思う。自分も阪神大震災当時のことを思い出す。あれは忘れられない、そういうものだ。僕はこの地に住んでいないから、正直わからないことがほとんどだ。でも、熊本のことが阿蘇のことがとても好きになったし、応援する。

お互いに頑張って生きましょう。

ホントに良いレースだったよ。来年?どうだろう?多分、またここに来てると思うよ(笑)

また、皆んなで行こう!

Mt.Aso Thanks!









by rhythmofmountain | 2017-05-21 20:56 | mountain